ADHDによる浪費癖と借金問題は同時に解決できる
近年、ニュースや新聞などで発達障害という言葉を見聞きする機会が増えてきました。
発達障害とは、生まれつきの脳機能障害によって社会生活が困難になってしまう障害のことで、大人になるまで障害に気づかないことも珍しくありません。
発達障害(ADHD・LD・ASDなど)の方はお金の管理を苦手にしていることが多く、お金に関するトラブルを抱えてしまうことがあります。
衝動買いが止められない、貯金がたまらない、借金をしてでも浪費してしまう、このような問題に悩まされ、良い解決方法がわからずに苦しい思いをしている人は少なくありません。
残念ながら、現在の医療では発達障害の根治は難しいと言われていますが、債務整理をすれば少なくても浪費癖と借金問題は解決できる可能性があります。
債務整理による借金問題の解決方法
債務整理とは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼をして、合法的に借金を減額・免除する手続きのことです。
債務整理の種類には「任意整理」「個人再生」「自己破産」「過払い金請求」の4つの手続きがあります。
債務整理の種類と特徴
債務整理の種類 | 手続き内容 | |
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任意整理 | 債権者との交渉によって、借金の利息や遅延損害金の免除、返済期間の延長などをする手続きです。裁判所を介さないため、手間が掛からずデメリットも少ないため、利用者が最も多い手続きです。 | |
個人再生 | 裁判所を介して借金を5分の1程度に圧縮します。自己破産とは違い、マイホームを残しながら借金を大幅に減額できます。 | |
自己破産 | 裁判所を介してすべての借金を帳消しにしてもらいます。所有する財産を処分する必要があるので、マイホームや車などを持たない人に向いています。 | |
過払い金請求 | これまで返済したお金の中に、利息制限法の上限金利を超えて支払ったお金がある場合、返還請求によって返金してもらうことができます。 |
任意整理と個人再生は手続き後に返済をしていく必要があるので安定収入が必要になりますが、自己破産と過払い金請求は返済する必要がないため、うつ病などで失業中の方でも手続きができます。
4つの手続きのうち、どの手続きを選択するかは借金の状況などによって変わってきます。
債務整理は浪費癖の改善に繋がる
債務整理は借金問題の解決のみならず、浪費癖の改善効果も期待できます。
債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載った状態になります。
ブラックリストに載るとローンやクレジットカードの利用ができなくなり、新たな借入れをしようとしても審査落ちになってしまいます。
つまり、衝動買いをしたくなってもカードは使えず借金をすることもできないので、強制的に浪費を抑えることができるのです。
ブラックリスト登録の期間は信用情報機関によって異なりますが、少なくても5年間は登録が解消されることはありません。
少々荒治療にはなりますが、自分の意志だけはどうしても浪費をやめられない場合、お金を自由に使えない環境に身を置くことが良策となることもあります。
借金問題は恥ずかしいことではない
借金のことを他人に相談するとなれば、恥ずかしい思いをしたり、プライドが傷つくような思いをしてしまうかもしれません。
ましてや、借金の原因がADHDなどの発達障害にあるとなれば、なおさら人には知られたくないと思ってしまうものです。
しかし、生まれながらにして障害を抱えている人も、日常生活の中で借金をしてしまう人も世の中にはたくさんいるのです。そのような方達の悩みに向き合って一緒に解決していく、そのために弁護士などの専門家が存在しているのです。
病気を治すために医者がいるように、借金問題を解決するために弁護士がいるのです。
弁護士のもとには日々様々な法律問題やトラブルを抱えた人が相談に訪れます。人に言えない悩みを持っているのはあなた一人だけではないのです。
ですので、恥ずかしいなどと思う必要は全くありませんので、借金問題が辛くて仕方ないのであればいつでも専門家を頼ってください。あなたに最適な解決方法を聞いてみるだけでも今後の参考になるはずです。
発達障害の3つの症状
発達障害には、大きく分けて「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「自閉症スペクトラム(ASD)」「学習障害(LD)」の3つがあり、それぞれの症状が重複したり、知的障害などを併せ持っていることも珍しくありません。
それぞれの特徴的な症状やよくあるお金のトラブルなどについてみていきましょう。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、不注意・多動性・衝動性の症状が特徴的な発達障害です。
1.不注意
不注意の要素が強いADHDは女性に多いと言われており、主に以下のような症状が見られます。
- ケアレスミスが多い
- ひとつのことに没頭し過ぎてしまう
- 物を片付けるのが苦手で整理整頓できない
- 気が散りやすい
- 時間にルーズ
2.多動性-衝動性
多動性-衝動性の要素が強いADHDは男性に多く見られると言われており、主に以下のような症状が見られます。
- 物事に優先順位をつけるのが苦手
- 落ち着いて座っていられない
- 貧乏ゆすりをする
- 衝動的に不適切な言動をする
3.混合型
「不注意」と「多動性-衝動性」の要素を併せ持っているのが混合型です。
- 物を紛失することが多い
- 落ち着きがない
- ルールを守るのが苦手
- 衝動的に大声を出してしまう
- ADHDによくあるお金のトラブル
- ADHDの人は注意力に欠けることが多いため、お金の管理を苦手としており、計画的にお金を貯めることができません。また、衝動性も強い傾向にあり、欲しい思う物があると気持ちを抑えることができず、無駄な出費をしてしまうことが多々あります。
クレジットカードがあるとつい衝動買いをしてしまうので、ADHDの人は現金払いを心掛けましょう。また、使用する口座を1つに絞るなどして、お金の管理が簡単になる工夫をしてみましょう。
自閉症スペクトラム(ASD)
自閉症スペクトラム(ASD)は、物事への関心の向け方、感じ方の相違性から、他人とはコミュニケーションや社会性が異なるといった特徴を持つ発達障害です。
1.社会でのコミュニケーションが苦手
言わずもがなのルールや慣習的な規則を理解できず、社会生活において周りの人とうまくコミュニケーションをとることができません。
また、相手の話している内容や思っていることを理解するのが苦手であると同時に、自分の言いたいことを分かりやすく伝えることも得意ではありません。
2.想像力の違い
自分が予定していた通りに物事が進まないことに強い抵抗を感じてしまいます。また、自分の行動パターンや興味のあることに強いこだわりを持っており、想定外の行動を取ることが苦手です。
- ASDによくあるお金のトラブル
- ASDの人は何事に対しても強いこだわりを持つ傾向にあるため、欲しい物があればためらいもなく借金をしてしまいます。また、コミュニケーションをとることが苦手なため、うまく営業トークにのせられて不要な物を購入してしまうこともあります。
ASDの人は自分が決めた行動パターンに強いこだわりがあるので、1ヶ月に使うお金をあらかじめ決めておけば無駄な浪費を抑えられるかもしれませんね。
学習障害(LD)
学習障害(LD)は、知的な問題はないものの、読み書きなどの特定の能力を必要とする学習が極端に困難な発達障害です。
学習障害には以下の3種類のタイプがあります。
1.読字障害
読字障害とは、字を読むことに困難がある障害のことです。日本人には100~200万人いると言われており、主に以下のような症状が見られます。
- 聴力に問題はないが言葉の聞き間違えが多い
- 音読する速度が極端に遅い
- 文字を読み飛ばしてしまう
- 形の似た文字を見分けられない
2.書字表出障害
書字表出障害とは、文字を書くことが困難な障害です。主に以下のような症状が見られます。
- 就学後も書けない字があった
- カタカナを習得できなかった
- 字を覚えられない
- ローマ字を覚えられない
3.算数障害
算数障害とは、数字の概念自体が理解できない、数の大小が分からない、図形や立体の認識が困難といった症状を持つ障害です。
- 数を数えるのが苦手
- 時計を見ても何時か分からない
- 簡単なものでも暗算ができない
- 九九をなかなか覚えられない
- 図形問題が極端に苦手
- LDによくあるお金のトラブル
- LDの人は計算を苦手としていることが多いため、家計簿をつけたり預貯金の管理などを苦手としています。また、ADHDやASDに見られる症状を併発していることもあり、浪費によって借金を作ってしまうことも少なくありません。
LDの人はお金の管理を信頼のおける人にお任せするとよいでしょう。家族の方も本人に必要以上にお金を渡さないことが大切です。
発達障害の治療方法は?
大人になってADHDなどの発達障害が判明した場合、治療方法は主に生活療法と薬物療法の2つがあります。
発達障害の治療方法
生活療法 | 生活療法の代表的なものが精神科などで行われるデイケアです。デイケアでは自分自身の障害について理解を深めるための心理教育や、コミュニケーションのトレーニングや社会生活向上のための訓練を通じて、生きづらさを感じない自立した生活を目指していきます。 | |
薬物療法 | 薬物療法では、主に情報伝達能力を補う薬剤を使用して発達障害の症状を緩和させていきます。服用期間については個人差があり、環境への適応状況などをみて医師が判断します。 |
発達障害の根治は難しい
生活療法と薬物療法のどちらを選択しても、現在の医学では発達障害を根本的に治すことは難しいと言われています。発達障害は、その人が生まれながらにして持った「感じ方・考え方・行動」と深く関係していて、それを根底から変えることができないからです。
そのため、治療で目指すものは根治ではなく、あくまで社会生活を送るうえでの様々な不適応を軽減する方法を探していくことになります。そのためには、本人の努力も大切になりますが、本人が苦手とするお金の面のサポートなど、周囲の人の協力も大切になってきます。
発達障害の経済的な支援制度
お住まいの地域によっては、発達障害の人を経済的に支援してくれる様々な制度が存在します。
代表的なものをいくつか紹介しますが、各自治体によって制度の内容が異なりますので、詳しくはお近くの自治体までお問い合わせください。
自立支援医療
発達障害などの精神疾患で通院している場合、医療機関で支払う医療費の自己負担額が軽減される制度です。各家庭の収入に応じて軽減される額が設定されますが、多くの場合、自己負担が1割程度になります。
心身障害者医療費助成制度
心身障害者に対して、医療費の一部を助成してくれる制度です。国民健康保健などの医療保険の自己負担分から一部負担金を差し引いた額を助成してくれます。
障害年金の給付
病気やケガなどによって障害を負ってしまった人に対して、一定の条件を満たすことによって年金が支給されることがあります。
障害年金については以下のページで詳しく解説しています。
生活福祉資金貸付制度
就労困難などによって収入の低い世帯を対象に、低利または無利子でお金を貸し付けてくれる制度です。貸付を受ける世帯が経済的に自立して安定した生活を確保することを目的にしています。
借金問題を解決して生活を再建させよう
発達障害の人が借金を抱えている場合、まず優先すべきは借金の返済負担を減らして生活を再建させることです。
借金問題に悩み続けるのは精神衛生上よくありませんし、貸金業者からの督促に怯えた生活はうつ病などの二次障害を発症してしまう恐れがあります。
また、返済に行き詰まれば、借金返済のために新たな借入れをしてしまう多重債務に陥ってしまう可能性もありますし、どこからも借入れができなくなれば闇金にまで手を出してしまうリスクもあります。
大切なことは落ち着いたリズムの生活を取り戻して精神的な負担を軽減させることです。そのための第一歩として、まずは借金問題の解決に取り組んでいきましょう。
弁護士に相談をすれば状況が一変する
借金問題はひとりで悩んでいても解決することはありません。借金問題の解決で大切なことは、弁護士などの専門家に相談をして自分に最も適した解決方法を教えてもらうことです。
専門家の診断によって思いも寄らないほど借金が減額され、状況が一変することも決して珍しいことではありません。
また、債務整理を弁護士に依頼すれば、弁護士から債権者に送付される受任通知という文書によって借金の督促を即日止めることができるので、督促による精神的な負担を解消することができます。
発達障害による浪費・借金問題にお悩みであれば、まずは一度弁護士に無料相談してみることをお勧めします。
「ADHDの借金返済方法などについて」まとめ
今回は発達障害を持つ人の借金返済方法などについてまとめてみました。
- 本記事のポイント
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- ADHDによる浪費と借金問題は債務整理で解決できる
- 発達障害の人を経済的に支援する制度がある
- 大切なことは借金問題を解決して生活再建を図ること
ADHDなどの発達障害と借金問題には密接な関係があります。
借金問題を抱えた状態では、落ち着いて発達障害の治療に専念することも出来ません。
発達障害による浪費癖と借金問題に苦しんでいるのであれば、まずは借金問題の解決を優先させましょう。
借金問題のプロである弁護士に相談をすれば、借金問題の解決方法のみならず、お金の管理の問題についても対処法をアドバイスしてくれるはずです。
弁護士への相談はハードルが高い印象があるかもしれませんが、話してみればほとんどの弁護士がごく普通の人なので安心できるはずです。
まずは雑談でもする感覚で、一度弁護士に無料相談されてみてはいかがでしょうか。きっと問題解決への道筋が見えてくることでしょう。
たくさんの人が無料減額診断で解決への第一歩を踏み出しています
借金問題に毎日悩まされ、なんとか解決したいけど誰にも相談できない…そのような人には、弁護士による借金の無料減額診断をお勧めしています。
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実際に多くの方が弁護士に無料診断をしてもらうことにより、借金問題から解放されています。
そしてほとんどの方が声をそろえて言うのが、「こんなに簡単に解決できるのなら、もっと早く相談しておけば良かった」という事です。
借金問題は悩んでいる間にも利息や延滞金が増え続け、どんどん状況が深刻化していきます。
まずは匿名で自分の状況を診断してもらい、1日も早く解決へ向けた第一歩を踏み出す事をお勧めします。