その月謝を滞納してしまうと何かしらの罪に問われるの?
それじゃ今回は、塾の月謝を滞納した場合の影響、月謝を支払えない場合の対処法などについて解説していくね。
塾や習い事の月謝を滞納すると、財産を差し押さえられる可能性もある
一昔前とは違い、今の時代、多くの子供が何かしらの塾や習い事に日々忙しく通っているものです。
たとえ経済的に余裕がなかったとしても、子供のためならばとお金に無理をしてでも塾通いさせている親御さんもいるのではないでしょうか。
しかし、あまりに無理をし過ぎてしまうと、月謝の工面が難しくなって支払いが滞ってしまうことになりかねません。
支払いが数日遅れる程度ならまだしも、支払わずに延滞を続けていると、最悪の場合、法的手段をとられて財産を差し押さえられてしまう可能性もあるので注意が必要です。
月謝の滞納から財産差し押さえまでの流れ
塾や習い事に通うということは、「何かを教えてもらう代わりにその対価を支払う」という契約行為が成立することになります。
その契約で交わした対価、つまり月謝を支払わないとなれば、契約は不履行となり、塾側には裁判を起こして財産や給与を差し押さえる権利が発生することになるのです。
また、初めから月謝を支払うつもりがない等、意図的に月謝を踏み倒そうとすると詐欺罪が適用される可能性もあります。
電話や督促状で支払いを催促される
月謝の引き落とし口座の残高が足りなかったり、子供に月謝を持たすことが出来なかった場合、まず初めに電話や督促状によって支払いを催促されることになります。
個人経営などの比較的規模の小さい塾の場合、「お支払いを忘れていませんか?」などと電話による催促が一般的です。
一方、全国展開しているような大手塾の場合、滞納者への対応がマニュアル化されていることが多く、「○月分の月謝が未納となっています。翌月分と合わせて請求いたします」といったような督促状が届くことがほとんどです。
法的手段を警告する督促状が内容証明郵便で届く
電話や督促状による催促を受けても支払わずにいると、続いては内容証明郵便にて督促状が届きます。
内容証明郵便とは、差出人が送った手紙・書面のコピーを郵便局が保管することにより、「誰が・いつ・誰に・どのような内容」の郵便を送ったのか、公的に証明することができる郵便のことです。
塾側が内容証明郵便で送る意図は、法的手段を講じる際、当書面を相手方に送付済みであることを証明できるようにするためです。
つまり、内容証明郵便で督促状が送られてきた場合は、塾側が訴訟や法的手段を検討していることを意味します。
裁判所を介して支払督促が届く
内容証明郵便による督促状すら無視し続けていると、最終的に法的手段を取られてしまうことになります。
ここで言う法的手段とは「小額訴訟」と「支払督促」のことで、いずれの手続きも裁判所を介す法的効力のある債権回収手段になります。
塾側が講じる法的手段
小額訴訟 | 60万円以下の小額債権を回収するために設けられた裁判制度で、通常の裁判よりも簡単に手続きをすることができる。 |
支払督促 | 簡易裁判所に申し立てをして、裁判所からの命令という形で債務者に金銭の支払いを通達する制度のこと。この通達を受け取って2週間以内に異議を申し立てなければ財産を差し押さえられてしまう。 |
小額訴訟よりも支払督促の方が手間も費用も掛からないため、塾側のほとんどは支払督促による通達を送付してきます。
財産差し押さえまでの期限は2週間
支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申し立てをしなければ、「最終通告を無視した」「一括払いに同意した」とみなされ、所有する財産を差し押さえられてしまうことになります。
ここで言う財産とは、車などの所有物の他に会社から支給される毎月の給与も含まれます。
給与の差し押さえとなれば、月謝滞納の件が勤務先に連絡されてしまいますので、会社に居づらくなって退職を余儀なくされてしまうかもしれません。
僅か数万円の月謝であったとしても、支払いを滞納し続けることによって、財産を差し押さえられたうえに職を失ってしまう可能性すらあるのです。
現実的には2~3ヶ月の滞納で退塾処分が多い
ここまでは、月謝滞納の最悪ケースである財産差し押さえについて解説をしてきましたが、実際には財産差し押さえまで進むケースはさほど多くはありません。
電話や督促状による催促の時点で支払いに応じる方がほとんどですし、そこで支払えなかったとしても、「次月分とまとめて支払う」などといった形で、支払いを猶予して貰えることもあります。
詳しくは後述しますが、もし電話や督促状を無視し続ける人がいたとしても、法的手段に掛かる費用や手間を考えて、2~3ヶ月間の滞納で退塾処分とするところが多いようです。
月謝にも時効はある
退塾処分となったとしても、当然のことながら月謝の支払い義務は残ります。退塾後、どのような形で支払いを催促してくるのかは塾や習い事の主催者によって異なりますが、多くの場合、電話や督促状による催促となるでしょう。
しかし、実は月謝の支払いにも時効というものがあり、時効期間を過ぎれば月謝の支払い義務はなくなるのです。
塾や習い事の月謝については2年で時効になります。これは教材費、または私立の保育園・幼稚園の保育料についても同様で、民法173条に規定された2年の短期消滅時効が適用されることになります。
次に掲げる債権は、2年間行使しないときは、消滅する。
(1)生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
(2)自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
(3)学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権
ただし、2年が経過する前に塾側が法的手段を講じて支払いを督促してきた場合は、そこで時効のカウントが止まってしまいますので注意が必要です。
公文、ヤマハ音楽教室、こどもちゃれんじの月謝を滞納するとどうなるのか
ここからは、多くのお子さんが実際に通う学習塾、ピアノ教室、通信教育における月謝滞納への対応を見ていきましょう。
公文やピアノ教室は強制退会となる
全国的に知名度が高く、日々多くの子供達が通う公文とヤマハ音楽教室では、月謝滞納に対してどうのような対応をしているのでしょうか。
それぞれの公式HPによりますと、公文もヤマハ音楽教室も、月謝を滞納し続けると強制退会処分となってしまうようです。
特にヤマハ音楽教室は「2ヶ月以上の滞納で退会処分」という具体的な取り決めがあり、一度退会処分となったら再入会できないという厳しい対応となっています。
また、公文においても、具体的な期間の明示こそないものの「期日までに月謝を支払わない場合、学習を継続できないこともあります」と記載がありますので、簡潔に言えば退会処分ということになるでしょう。
こどもちゃれんじは法的手段も辞さない
小学生のお子さんがいる場合、通信教育を利用しているご家庭も少なくないと思います。中でも人気があるのはベネッセコーポレーションの「こどもちゃれんじ」ではないでしょうか。
教室で教わる一般的な塾とは異なりますが、全国的に人気のある教育サービスですので、月謝滞納について調べてみました。
結論を言いますと、こどもちゃれんじの場合は法的手段を取られる可能性が高いです。
受講料を支払わないと、まず初めに督促状が届き、それを無視していると内容証明郵便で督促状が届きます。
前述の通り、内容証明で届くということはその時点で法的手段の準備に入っている可能性が高いと言えます。
また、滞納から3ヶ月が経過した時点で教材が届かなくなりますので、学習を続けることは不可能になってしまいます。
一度や二度のうっかりミスで支払いが遅れてしまうこともあるかもしれませんが、こどもちゃれんじの場合、悪質と判断されてしまうと法的手段も辞さないようなので注意しましょう。
月謝を支払えない場合の対処法
借金の返済や急な出費などで家計が苦しくなり、どうしても月謝を支払う余裕がない時はどうしたらよいのでしょうか。
事情を話して支払いを待ってもらう
まずはとにかく早めに塾側に連絡をして謝罪をしましょう。謝罪をしたうえで、支払う意思があることをきちんと伝えましょう。
こちらから連絡をするかしないかで、塾側が受ける心証は大きく変わるものです。
また、連絡をする際には、できる限り具体的な支払い日を塾側に伝えることが大切です。「もう少しだけ待ってください」と「来月の25日までにお支払いします」では、これもまた心証が大きく変わるものです。
まずはこちらから連絡をして謝罪をする、そして具体的な返済日をお伝えすることによって、少なくても誠意は伝わるはずですので、場合によっては支払いを猶予してくれるかもしれません。
お金を借りる
支払いの目途が全く立たないのであれば、一時的にお金を借りることも検討しましょう。
- お金を借りる方法
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- 親から借りる
- 母子父子寡婦福祉資金制度
- カードローン
親から借りる
お金の借入れ先として一番安全なのは、実家の両親ではないでしょうか。
いくら自分の親とは言え、お金を貸して欲しいと頼みづらい気持ちはわかります。「心配をかけたくない」「肩身の狭い思いをしたくない」という感情は、親子だからこそ芽生えるものだと思います。
しかし、今の状況を包み隠さず話して相談することによって、孫のためならと援助をしてくれるかもしれません。
ただし、親からお金を借りる場合であっても、自分から返済日を約束して、今後も良好な関係でいられるようにしましょう。
母子父子寡婦福祉資金制度
母子家庭や父子家庭の場合は、自治体が提供する「母子父子寡婦福祉資金制度」を利用してみてもいいかもしれません。
母子父子寡婦福祉資金制度は、20歳未満を扶養している母子・父子家庭の経済的自立を支援するために自治体が貸付けを行っている制度で、一定の条件に該当すれば無利子でお金を借りることができます。
資金の種類には「就学資金」「就学支度資金」があり、授業料、書籍代、通学費等といった教育費全般に利用することができます。
カードローン
両親からはお金を借りられず、一人親家庭ではないので母子父子寡婦福祉資金を利用できない、そういう方はカードローンの利用を検討してみましょう。
カードローンとは、カード1枚でATMから手軽に現金を引き出して融資を受けられるサービスのことで、利用限度額の範囲内であれば何度でも自由にお金の借入れができる、比較的小額の個人向け商品です。
一時的に支払いに困っている時に、必要な金額だけを手軽に借りられる人気の金融商品となっており、アコムやプロミスでは初めての方は30日間無利息で利用できます。
初めは誰でも貸金業者からの借入れに抵抗のあるものですが、月謝を滞納し続ければ退塾は免れないでしょうし、塾に通えなくなった子供が惨めな思いをすることを考えれば、一時的な借入れであれば検討してみてもよいのではないでしょうか。
借金問題で月謝を支払えない場合、最優先すべきは借金の減額
借金問題が原因で月謝の支払いが難しいのであれば、まずは借金の減額を考えるべきです。月謝の支払いのためであっても、これ以上借金を増やすことは絶対に避けるべきです。
借金問題が解決しない限り、この先、月謝のみならず様々な面でお金の工面に悩まされることになるでしょう。
気付かないうちに膨れ上がる借金
複数の貸金業者から借金をすることを「多重債務」といいますが、ひとたび多重債務に陥ってしまうと、毎月の利息の返済だけでいっぱいいっぱいになってしまい、元本をそのものを減らすことが困難になってしまいます。
そして利息の返済すら難しくなってくると、借金返済のための新たな借金を繰り返し、いわゆる借金の自転車操業状態になってしまいます。
ここまで来ると、今現在の自分の借金総額を把握することすら困難になってしまい、気付いたときには莫大な額の借金を抱えてしまうことも決して珍しいことではないのです。
やがて闇金に手を出してしまう
借金の自転車操業状態はそう長く続くものではありません。日本には借金の総量規制というものがあり、年収の3分の1以上の借金ができないことになっています。
限度額いっぱいまで借金をしてしまったら、残る借入れ先は違法にお金を貸し付ける闇金ぐらいしかありません。
闇金に手を出してしまった人の末路は悲惨なものです。闇金は法外な高金利でお金を貸し付け、執拗とも言える嫌がらせや脅迫行為を繰り返し、何が何でも借金を取り立てようとします。
闇金が原因で自ら生涯を終えてしまう人も少なくありませんし、闇金などと関わったら、大切なお子さんにいつ危害を加えてくるかも分かりません。
子供の将来のため!手遅れとなる前に専門家へ相談を
闇金になど手を出さなくても済むように、とにかくこれ以上借金を増やすのはやめて、今すぐに借金を減額することを考えましょう。
債務整理という借金問題を解決するための合法的な手続きであれば、借金の減額や免除が意外なほど簡単にできてしまうのです。
塾へ支払う月謝が足りないのであれば、一時的にお子さんを休学させてでも債務整理で借金を減額するべきです。
その場しのぎの一時的な借入れのつもりで借金を増やしてしまうと、多重債務者となって坂道を転げ落ちるように借金地獄に陥ってしまいます。
お子さんの将来のためにも、自己破産以外の手続きで解決できる可能性があるうちに、債務整理の専門家へ相談することをオススメします。
借金問題を解決するために大切なことは、まずは専門家への相談です。勇気を持って専門家に相談すれば、お子さんの将来にも影響のない最良の解決案を提示してくれることでしょう。
塾や習い事の月謝滞納についてのまとめ
今回は塾や習い事などの月謝滞納問題についてまとめてみました。
- 本記事のポイント
-
- 塾・習い事などの月謝を滞納すると財産差し押さえの可能性がある
- 2~3ヶ月間の月謝滞納で退塾処分となることが多い
- 月謝を支払えない場合は事情を説明して理解を得る
- 月謝滞納の原因が借金問題の場合は、まずは借金を減額する
「子供に心配をかけたくない」「塾通いを続けさせてあげたい」、月謝の支払いが難しかったとしても、子を持つ親であれば誰しもがこのような感情を抱くことと思います。
しかし、ここで無理をして借金を増やしてはいけません。月謝を支払えそうにないのであれば、思い切って休学や退塾を決断するべきです。
そして、まずは借金を減らして生活を建て直しましょう。債務整理を行えば今よりも借金の返済負担は格段に軽くなりますので、お子さんも無理なく塾通いできるようになるのではないでしょうか。
子供の塾や習い事は、あくまで無理なく月謝を支払える範囲内で通わせるのが理想ですね。
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