結婚後の場合は家族に知られてしまうポイントをしっかりと抑えたうえで、手続きするかしないかを検討した方が良いかもね!
個人再生をしても結婚に影響することはない
「自己破産だけはしたくない」「マイホームを手放さずに借金を減らしたい」、このようなお悩みをお持ちの方は個人再生による借金の大幅な減額が有効になります。
しかし、この先結婚を控えている方の場合、個人再生による結婚への影響が心配でなかなか手続きに踏み切れないこともあるでしょう。
確かに個人再生をすると、「ブラックリストに載る」「ローンが組めなくなる」などのデメリットはありますが、個人再生の手続きによって結婚そのものが規制されたり不利になるような法律は存在しません。
また、個人再生をしても婚約者や配偶者に借金の返済義務は生じませんし、子供への影響もありません。
戸籍や住民票に記録は残らない
個人再生をすると戸籍や住民票に記録が残ってしまい、「結婚が不利なる」「家族に影響が出る」といったような話を耳にすることがあります。
私が法律事務所に勤めていたときも、実際にこのような点を心配されている方がいらっしゃいましたが、個人再生をしても戸籍や住民票に記録が残ることは一切ありません。
唯一、「官報」と呼ばれる国が発行している機関誌に氏名・住所などが掲載されますが、官報の情報を日々細かくチェックしている人なんていませんし、一般の方であれば官報の存在すら知らない人がほとんどです。
官報の詳細はこちらの記事をご覧ください。
婚約者に借金の返済義務は生じない
個人再生による借金の減額後、残った借金は原則3年間(最長5年)で返済しなければいけませんが、この際に借金の返済義務が婚約者や配偶者に生じることはありません。
日本では民法で規定された「夫婦別産制」の考えが採用されており、例え夫婦であっても自分名義で所有する財産はその人だけの特有のものと見なされます。
借金についても考え方は同じで、結婚して苗字が同じになったとしても、あくまで借金をしている個人の問題として扱われるのです。
よって、これから結婚しようとしている大切なパートナーに借金を負わせてしまう心配はございません。
配偶者名義であればローンも組める
個人再生をすると、その事実が個人信用情報機関に記録されてしまい、一般的によく言われる「ブラックリスト」に載った状態になります。
各信用情報機関にもよりますが、ブラックリストに登録される期間は約5~10年となっており、その期間中ローンを組むことが一切できなくなります。
しかし、やむを得ない事情でどうしても早期にマイホームや車が欲しい場合は、配偶者名義でローンを組むことも可能です。
ローンの審査は、あくまでローンを申し込んだ本人だけを対象に行われますので、あなたが個人再生をしていたとしても、そのことが配偶者の審査に影響を与えることはありません。
子供への影響もない
個人再生をしたことによって子供に影響を与えることはありません。
子供の個人信用情報に傷がつくことはありませんし、子供が通う幼稚園や学校などに個人再生のことを知られてしまうこともありません。
ただし、前述の通りブラックリスト期間中はローンが組めなくなりますので、お子さんのための教育ローンが組めなくなります。
また、ブラックリストの身では借金の保証人になることもできませんので、お子さんの奨学金の保証人になることもできません。
お子さんご自身の問題ではありませんが、上記の2点は念頭に入れておきましょう。
個人再生中の結婚も可能
個人再生の手続き中であったとしても、法律的に結婚を規制されるようなことはありません。
自己破産の場合、手続き中は居住場所を制限されたり、免責が確定するまで一定の職業資格が停止されるなどしますが、個人再生では手続き中に何かを制限を受けることは一切ありません。
個人再生を内緒にしやすいのは結婚前
この記事をご覧の方の中には、婚約者や相手方の親族、または配偶者に知られずに「内緒で個人再生をしたい」と思われている方もいることでしょう。
一番良いのはパートナーに正直に打ち明け、二人で協力し合いながら借金問題と向き合っていくことでしょうが、やむにやまれる事情で内緒にしておきたいのであれば、結婚前の個人再生をオススメします。
弁護士とのやり取りを隠せる
個人再生は裁判所を介して行う手続きのため、提出書類が多く手続きも大変複雑です。
そのため、素人がひとりで行うのは非常に困難で、一般的には弁護士などの専門家に依頼をして手続きを進めることになります。
弁護士に依頼をすれば手続きの手間は省けますが、個人再生の手続きにかかる期間、およそ6ヶ月間は弁護士とやり取りをしなければなりません。
結婚後であれば同居する配偶者の目を気にしなくてはなりませんが、結婚前の独身の身であれば、電話や書面によるやり取りであっても、婚約者の目に怯える必要はありません。
必要書類は自分の物だけでよい
個人再生を裁判所に申し立てる際、配偶者の給与明細や源泉徴収票などが必要になるケースもありますので、家族の協力なしにこれらを用意することは難しいと言えます。
結婚前であれば、いずれの書類であっても自分の物だけを提出すればよいので、このことから婚約者などにバレてしまう心配はありません。
同棲中の場合は注意が必要
結婚前であっても、婚約者と同棲中の場合は注意が必要です。
前述の通り、個人再生の手続き中は代理人となった弁護士と定期的に連絡を取り合う必要がありますが、同棲中だと同居する婚約者の目を気にしなければいけません。
そのような場合は、前もって弁護士に事情をお伝えして連絡手段や連絡時間などの取り決めをしておきましょう。
最近ではLINEアプリを活用した法律相談を実施している弁護士事務所もあるくらいなので、希望する連絡手段はある程度柔軟に対応してくれると思います。
また、弁護士に依頼をすれば郵便物の受け取り代行もしてくれますので、貸金業者や裁判所からの書類が自宅宛に届いてしまう心配もなくなります。
結婚後の個人再生は配偶者に知られるリスク大!
結婚前に比べ、結婚後の個人再生は配偶者に知られてしまうリスクが高いと言えます。どのような点から配偶者に知られてしまうのか、以下に代表的なものをご紹介します。
配偶者の源泉徴収票・給与明細が必要になるから!
前述の通り、個人再生の手続きでは本人の物だけでなく配偶者の書類も必要になるケースがあります。
個人再生をする本人と家計を共にする同居人がいる場合、同居人の分も含めた家計収支表を作成・提出しなければいけません。
また、配偶者が働いている場合(パート勤務を含む)は、配偶者の源泉徴収票や過去2ヶ月分の給与明細などの収入証明書が必要になります。
配偶者が無職であれば収入証明書は必要ありませんが、家計収支表には食費、光熱費、保険料、税金、その他諸々全ての収支を記入する必要がありますので、家族の協力なしでの作成は難しいと言えます。
ブラックリストによってローンが組めなくなる
こちらも前述していますが、個人再生の手続きをするとブラックリストに載ることになります。これは個人再生に限ったことではなく、任意整理や自己破産であっても同様です。
ブラックリストに登録される約5~10年間はローンを組むことが一切できなくなりますので、結婚後、何を買うにしても一括払いを余儀なくされます。
配偶者に対してローンの審査が通らな理由をしっかりと説明できなければ、ブラックリストを疑われてしまう可能性は高いでしょう。
車を手放さなくていけないこともある
個人再生では、ローン支払い中の車を手放さなくてはいけないことがあります。
これは車の所有権が誰にあるのかといったことに関係があり、一括払いで買った車であれば所有権はすぐに買主に移りますので車を手放さずに済みます。
しかし、ローンで購入した場合は、所有権がローン会社のままになっていることが多く、このことを「所有権留保」と言います。
「所有権留保」の状態で個人再生を行うと、ローンの回収が困難だと判断されてしまい、ローン会社に車を引き上げられてしまう可能性があります。
ある日、突然車を没収されてしまったら、事情を知らない配偶者からしてみれば不審に思うのは当然のことでしょう。
借金整理の対象を選べない
個人再生では、任意整理のように借金の整理対象を選ぶことができません。
このことは、「債権者平等の原則」と言って、すべての債権者を平等に扱わなくてはいけないという考えに基づいています。
もし配偶者が保証人になっている借金があれば、当然その借金も整理対象に含めなければならず、結果的に保証人である配偶者に請求が行くことになってしまいますので、個人再生を隠し続けるのは不可能と言って良いでしょう。
できる限り結婚相手には個人再生を伝えるべき
結婚と個人再生をお考えであるならば、できる限りパートナーにはすべてを打ち明けて、二人で協力しながら借金問題を解決することをオススメします。
結婚前の手続きは内緒にしやすいですが絶対にバレない保証はありませんし、結婚後、家族に隠しながら手続きを進めることは大変難しいことです。
話して分かってくれそうな相手であれば、打ち明けてすっきりして、気持ちを新たに借金問題と向き合うべきです。
パートナーに打ち明ける際のポイント
婚約者や配偶者への打ち明け方ですが、個人再生をする必要性について、以下の点を含めながら分かりやすく説明してあげると良いでしょう。
- パートナーに伝えるべきこと
-
- 債務整理は怖いものではない
- 破産せずに借金を大幅減額できるのは個人再生だけ
- 個人再生をしないデメリット
債務整理は怖いものではない
個人再生の話に入る前に、まずは債務整理そのものについてしっかりと説明をしてあげましょう。
借金問題と無縁の人は、債務整理と借金の関係についてもよく分かっていないことが多く、借金という響きから闇金などを連想してしまい、借金は怖いものというイメージを抱いていることも少なくありません。
そこで、まずは債務整理は合法的な借金の減額方法であり、生活再建のために国が用意してくれた救済措置であることを理解してもらいましょう。
破産せずに借金を大幅減額できるのは個人再生だけ
次に、債務整理の具体的な手続きについて説明をしましょう。
任意整理では借金の返済負担が減らない、自己破産は財産を失うなどリスクが大きい、といったことを理解してもらったうえで、破産せずに借金を1/5にまで減額できるのは個人再生しかないことを伝えましょう。
債務整理の各手続きの特徴については以下の記事を参考にしてください。
また、個人再生には大きなデメリットがないということも忘れずに説明しておきましょう。
配偶者に借金の返済義務が発生しないこと、戸籍や住民票に記録されないこと、子供に影響がないこと、個人再生をした人と結婚をしても、その相手はローンを組めるしクレジットカードも使える、といったことをお伝えして安心してもらうことが大切です。
個人再生をしないデメリット
また、この先、個人再生をせずに借金を支払い続けることのデメリットもお伝えするのもいいかもしれません。
あまりに絶望感漂う話し方をしてしまうのはよくありませんが、このままでは借金地獄から抜けられない、マイホームも買えず人生設計を建てられないことを分かってもらえれば、理解を得られるかもしれません。
個人再生をするなら早めに弁護士に相談を
ここまで見てきたように、個人再生をしても、結婚ができなくなることはありませんし、大切なパートナーに大きな影響を与えてしまうこともありません。
婚約者や配偶者がいる状態での個人再生は、二人の関係が悪化しないよう慎重に事を進めなければいけませんが、そのためには、借金問題の専門家である弁護士に相談をして助言を受けることが一番です。
弁護士に相談をすれば、誰にもバレない個人再生の手続き方法や、そもそも本当に個人再生でなければ解決できないのかといったこともアドバイスしてくれます。
借金問題は、放置しておいても絶対に解決できません。むしろ利息や遅延損害金が積み重なって自己破産しか選択肢がなくなってしまいます。
結婚を考えているけれど借金があって悩んでいるのであれば、なるべく早めに弁護士に無料相談してみることをオススメします。きっと解決の糸口が見つかるはずです。
よくある質問
借金問題と結婚についてよくある質問をまとめました。
夫が個人再生をしている場合、妻は扶養に入れるの?
夫が個人再生をしたとしても妻を扶養に入れることはできます。
家族を扶養に入れることと、個人再生やブラックリストとは何も関係はありません。
余談にはなりますが、夫が個人再生をしたとしても、結婚前まで妻が使っていた妻名義のクレジットカードはそのまま使い続けることができます。
結婚をすればカードの名義は変わりますが、そのことと夫の信用情報には一切関係がなく、妻名義のカードはあくまで妻の信用情報だけしか審査対象になりません。
結婚で苗字が変わったらブラックリストからは外れるの?
苗字が変わったとしてもブラックリストから外れることはありません。
各信用情報機関では、氏名や生年月日の他に免許証や保険証番号も記録していますので、これらの番号は苗字が変わっても変更されないため、ブラックリストからは外れないようになっています。
また、金融機関での借入の際、申込用紙には旧姓を記入する欄が設けられているので、苗字が変わったとしてもブラックリスト登録者であることは容易に判明してしまいます。
個人再生と結婚についてのまとめ
今回は個人再生と結婚についてまとめてみました。
- 本記事のポイント
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- 個人再生をしても結婚はできる
- 個人再生がバレにくいのは結婚前
- 結婚相手には個人再生を伝えた方が良い
結婚を控えながらの個人再生は悩ましい問題ですね。
結婚相手に知られたくない、失望させたくないという思いもあれば、借金問題をすっきりさせて新生活を迎えたいという思いあり、簡単には結論を出せない難しい問題かと思います。
ただ、間違いなく言えることは、夫婦二人で新しい人生をスタートさせるのであれば、借金問題は解決しておいた方が良いということです。
結婚を考えているけども借金があって踏み切れないという人は、まずは弁護士に相談をして借金問題の解決方法を提案してもらうことをオススメします。
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実際に多くの方が弁護士に無料診断をしてもらうことにより、借金問題から解放されています。
そしてほとんどの方が声をそろえて言うのが、「こんなに簡単に解決できるのなら、もっと早く相談しておけば良かった」という事です。
借金問題は悩んでいる間にも利息や延滞金が増え続け、どんどん状況が深刻化していきます。
まずは匿名で自分の状況を診断してもらい、1日も早く解決へ向けた第一歩を踏み出す事をお勧めします。