税金の支払いは国民の義務ですが、その支払いを滞納していると役所から「差押予告書」が届きます。
ある日突然このような書類が届くと「財産を没収されてしまうかも…」と不安な気持ちになるものですよね。
本記事では『差押予告書とは何なのか』『差押予告書が届いたら何をすればよいのか』『放置しておくとどうなるのか』といった点について詳しく解説していきます。
差押予告書が届いたらまずは役所へ相談を
差押予告書とは、定められた期日までに税金を納めなかった場合に届く「役所からの最終勧告」です。
税金を滞納すると、まずは督促状や電話などによって支払いを求められますが、それでも支払わずにいると、最終的にはこの差押予告書が送られてきます。
詳しくは後述しますが、差押予告書を無視していると給与・預貯金・車・家屋といった財産を差し押さえられてしまいますので早急な対処が必要です。
差押予告書が届いたら、1日も早く送り主である役所の納税課などへ連絡をして、今後の支払いについて相談にのってもらいましょう。
役所に相談するメリット
税金の支払いが難しい場合、役所に相談をすれば税金の分割払いに応じてくれたり、税金の猶予制度を受けられることがあります。
- 役所に相談するメリット
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- 税金を分割で支払える
- 税金の猶予制度を受けられる
税金を分割で支払える
まずは役所へ連絡をして「滞納中の税金を支払う意思がある」こと誠意を持って伝えましょう。そのことによって滞納中の税金を分割払い(分割納付)にしてもらえる可能性があります。
分割払いに応じてもらえるかどうかは担当者の判断に委ねられますので、滞納している理由、支払いができない理由などを包み隠さず正直に伝えましょう。
分割払いが認められると、多くの場合は1年以内で分割納付をしていくことになり、「○月○日までに支払います」といった誓約書を書くことになります。
誓約書に書かれた内容を守らないと、一括請求を受けるか財産差し押さえになりますので、無理のない範囲で支払い計画を立ててもらうことが大切です。
税金の猶予を受けられる
また、役所に相談をすれば「換価の猶予」と「徴収の猶予」の二つの制度に基づいて、税金の猶予を受けられることがあります。
換価の猶予
税金を納める誠実な意思があるものの、税金を納めることによって事業の継続や生活の維持が困難になる恐れがあると認められた場合、財産の差し押さえや売却が猶予されます。
換価の猶予を受けるには、税金の本来の納付期限から6ヶ月以内に申請をする必要があります。
徴収の猶予
以下のような理由によって税金を一時的に納付できないと認められた場合、1年以内の期間に限り、税金の徴収を猶予してもらえます。
徴収の猶予に該当するケース
- 財産について震災、風水害、火災その他の災害を受け、または盗難に遭ったとき
- 納税者またはその生計を一にする親族などが病気にかかり、または負傷したとき
- 事業を廃止し、または休止したとき
- 事業について著しい損失を受けたとき
- 本来の法定納期限から1年以上経過した後に、賦課決定の遅延などにより納付または納入すべき税額が確定した場合
猶予期間中に発生する延滞金については全額または一部が免除されます。また、猶予してもらった税金は、原則として猶予期間内に分割して納付していくことになります。
詐欺に注意!役所からはSMSで連絡が来ることも
最近は税金の納付が滞っている人に対して、SMS(ショートメッセージサービス)を使用した催告を行なっている役所も少なくありません。
納税に関するSMSが届いた場合、すでに納税通知書・督促状・差押予告書などが自宅に届いているはずなので、確認のうえ対応するようにしましょう。
督促状などの書類が届いていないにも関わらず、SMSで振込みなどの案内があった場合は詐欺である可能性が高いので注意をしましょう。
役所以外で相談できる機関
税金滞納による差し押さえを回避するには、最終的には役所に交渉するしかありませんが、役所以外にも相談にのってくれる機関はあります。
まずは以下の相談窓口で役所との交渉方法などについて具体的にアドバイスをしてもらい、そのうえで役所に連絡をしてみるのも良いかもしれません。
滞納相談センター
2015年10月に設立された、税理士、弁護士などの専門家とボランティアで運営している機関です。日本全国から滞納問題の相談を受け付けています。
滞納相談センターのお問い合わせ先
TEL:03-6268-8091(※北海道にお住まいの方 TEL:090-7651-0283) 受付時間:午前10時~午後4時(土日祝を除く)
ライフサポートセンター
労働者福祉協議会などが主体となり、勤労者・生活者の相談支援活動を提供する組織として2008年7月に設立されました。
専門相談員が電話相談に応じてくれ、場合によっては弁護士や税理士などの専門家を紹介してくれます。全国各地に拠点がありますので、相談の際は最寄りの拠点に連絡をしてみましょう。
滞納・差押ホットライン
不定期ではありますが、弁護士会やNPO団体などが主催をして、税金の滞納や差し押さえに関する電話相談に応じてくれるホットラインが開設されることがあります。
税金の督促が強化される年末に開設されることが多いので、この時期に税金滞納でお悩みの場合は積極的に利用してみましょう。
税金の支払いが難しい場合の対処法
多額の借金などを抱えており、分割でも税金を支払えそうにない人はどうしたらいいのでしょうか。具体的な対処法は以下の二つです。
- 税金の支払いが難しい場合の対処法
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- 債務整理をする
- 生活保護を受ける
債務整理をする
債務整理をしても税金の減額や免除はできませんが、借金は債務整理によって法的に減らしたりゼロにすることができます。
債務整理によって借金の返済負担を減らし、余裕が出たところで税金の支払いをするというのも方法の一つです。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の三つの手続きがありますが、どの手続きであっても最低2ヶ月はかかります。
その間、滞納を放置してしまうと財産を差し押さえられる可能性がありますので、役所には債務整理の手続き中であることを忘れずに連絡しておきましょう。
債務整理によって税金の支払いができることを伝えれば、役所も前向きに分割払いを検討してくれるでしょう。
生活保護を受ける
もう一つの方法は生活保護を受給することです。生活保護を受ければ住民税・所得税・自動車税・国民年金などの支払いが免除されます。
滞納中の税金は執行停止の扱いとなり、生活保護を受給している間は支払い請求を受けることはありません。執行停止となった税金はすぐに消えてなくなるわけではありませんが、一定期間経過すると完全に消滅します。
時効で逃げ切るのは難しい
税金の種類によって異なるものの税金にも時効が存在します。差押予告書を受け取った人の多くが滞納している住民税の時効は5年です。
ただし、時効のカウントは督促状や差押予告書などが届くたびにリセットされてしまいますので、時効を成立させるのはほぼ不可能です。
引っ越しをしたとしても、そのまま逃げ切るのは難しいでしょう。役所は引っ越し先にも督促状を送ってきますので、そのたびに時効のカウントがゼロに戻ってしまうのです。
住民税を滞納したまま引っ越しをして、その後役所から連絡がなかったとしても安心はできません。忘れかけた頃に延滞税を上乗せして一括返済を求められることになります。
差押予告書を放置しているとどうなるのか
何度も繰り返しているように、差押予告書を放置していると財産を差し押さえられてしまいます。差し押さえの対象となる財産はおおむね以下のようなものです。
- 差し押さえの対象となるもの
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- 土地・家屋
- 自動車・家具・骨董品・美術品
- 生命保険料
- 預貯金・給与・家賃・地代
滞納から差し押さえまでの流れ
実際にはどのような流れで財産を差し押さえられてしまうのでしょうか。滞納から差し押さえまでの流れを見ていきましょう。
STEP1
督促状が届く
1日でも納付期限を過ぎると滞納となり、まずは税金の支払いを求める督促状が届きます。督促状が届くタイミングは自治体によって異なりますが、通常、納付期限から20日以内に督促状が送付されます。
STEP2
電話や文書による催告を受ける
督促状が届いても納付せずにいると、今度は電話や文書による催告を受けることになります。この際、役所からだけではなく、業務を委託された業者からも催告を受ける可能性があります。
STEP3
財産を調査される
督促や催告を受けたにも関わらず税金を支払わない場合は、差し押さえの前段階として滞納者の財産調査が行われます。これらは国税徴収法に基づいて滞納者の了承を得ずに行うことができます。
STEP4
差押予告書が届く
財産調査によって一定の財産が見つかると差押予告書が送られてきます。冒頭でも触れましたが、差押予告書は役所からの最終勧告です。
差押予告書に記載されている納付期限までに支払いをしないと、いつ財産を差し押さえられてもおかしくない状況になってしまいます。
STEP5
差し押さえ
最後まで納付に応じずにいると、実際に財産を差し押さえられてしまいます。給与が差し押さえとなった場合は、差押通知書が勤務先に送付されるため、差し押さえの事実が職場にも知られてしまいます。
延滞税を軽視してはいけない
税金の納付期限を1日でも過ぎると延滞税が発生してしまいます。延滞税は納付期限の翌日から完納までかかり続け、滞納期間によって以下のように利率が異なります。
延滞税の利率
- 滞納から2ヶ月まで:年7.3%
- 滞納から2ヶ月以降:年14.6%
年14.6%もの利率ともなると、カードローンの利率と大差はありません。
延滞金は分割納付の途中であっても、未納の税金がある限り発生し続けます。滞納期間が伸びれば伸びるほど延滞金は増えていきますので早めの対処が大切です。
借金で税金を支払えないのなら弁護士に早期相談を
税金の支払いに困っている場合、その根本原因は借金問題であることが少なくありません。
税金を滞納してしまうほどの借金にお悩みであるならば、これ以上借金が膨れ上がってしまう前に早期解決することが大切になります。
借金の督促が止まるので滞納中の税金を支払える
借金問題を解決するには、弁護士に依頼をして債務整理をすることが最も確実です。
債務整理を行うとなれば、弁護士から各貸金業者に対して送付される受任通知によって借金の督促が完全に止まるので、手続き終了までは借金を返済する必要がなくなります。
そのため、それまで返済に充てていたお金で滞納中の税金を支払うことができますし、弁護士費用として貯めておくこともできるのです。
このままでは状況が悪化するだけ
借金問題は放置していても絶対に解決することはありません。
それどころか、利息や遅延損害金によって日に日に借金が膨れ上がっていきますし、滞納中の税金も延滞金によってどんどん加算されていってしまいます。
これ以上事態が深刻化する前に、借金問題の専門家である弁護士に相談をして早めに対処をすることが大切です。
弁護士への相談が早ければ早いほど解決方法の選択肢も広がりますので、まずは1日も早く弁護士に無料相談することから始めてみましょう。
たくさんの人が無料減額診断で解決への第一歩を踏み出しています
借金問題に毎日悩まされ、なんとか解決したいけど誰にも相談できない…そのような人には、弁護士による借金の無料減額診断をお勧めしています。
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実際に多くの方が弁護士に無料診断をしてもらうことにより、借金問題から解放されています。
そしてほとんどの方が声をそろえて言うのが、「こんなに簡単に解決できるのなら、もっと早く相談しておけば良かった」という事です。
借金問題は悩んでいる間にも利息や延滞金が増え続け、どんどん状況が深刻化していきます。
まずは匿名で自分の状況を診断してもらい、1日も早く解決へ向けた第一歩を踏み出す事をお勧めします。