麻雀の借金に返済義務はない
ギャンブルで多額の借金を抱えてしまうことがあります。
ギャンブルで代表的なものと言えば、パチンコ、競馬、競艇といったところですが、中には麻雀にハマって借金まみれになってしまう人も少なくありません。
本来お金を賭けた麻雀は違法とされていますが、表向き禁止としているだけで、実際のところは黙認している雀荘がほとんどです。
麻雀賭博という違法ギャンブルで作ってしまった借金は、法律上支払わなくてはいけない義務があるのでしょうか。
結論を言いますと、麻雀で負けたお金は支払う必要はありません。以下でその理由を見ていきましょう。
違法ギャンブルの借金は無効
まず、麻雀でお金を賭けることは刑法185条の賭博罪に該当するため違法ギャンブルとして禁止されています。
刑法185条第23章
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」とは、例えば、ジャンケンで負けた人がジュースを奢るなどの家族や仲間内での小さな賭け事を指します。
麻雀賭博は「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる」とは見なされず、賭博罪として違法行為になってしまうのです。
そして、その違法行為による借金は、民法90条の公序良俗に反するとして無効になるのです。
民法90条
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
つまり、麻雀でお金を賭けることは法律で禁止されおり、且つ善良の風俗(公の秩序、社会生活における習わし)にも違反しているので、「負けたお金を払う約束をしても法的には無効になる」ということです。
このことは借用書がある場合でも同じで、借用書を書いてしまったとしても違法ギャンブルで負けたお金を支払う必要ないのです。
支払い済みのお金は取り戻せない
ただし、既に支払ってしまったお金については、法的に返還請求することはできません。
違法ギャンブルであると知りながら勝負をしておいて、いざ負けたらやっぱりお金を返して欲しいというのは、いくらなんでも筋が通りません。
勝った人と負けた人がお互いに違法行為とわかったうえで金銭が支払われている以上、一度支払ってしまったお金は取り戻すことができないのです。
このことは民法708条に規定されており、簡単に言うと「法を犯した人の手助けはしません」ということになります。
民法708条
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。
また、いくら違法ギャンブルに使ったとは言え、貸金業者などから借りたお金については返済しなければなりません。
お金を貸す方は、そのお金が何に使われるのか知りませんので返済しなくてはならない義務があるのです。
麻雀で借金まみれになってしまう理由
パチンコなどのギャンブルと同様、麻雀も一度ハマると抜け出すのが困難になって多額の借金を背負ってしまうことがあります。
一体どのような理由で借金をするほどまでに麻雀にのめり込んでしまうのでしょうか。
ギャンブル依存症
まず最初に考えられるのがギャンブル依存症によるものです。
ギャンブル依存症は精神疾患のひとつとも言われており、勝つか負けるか分からないスリルや勝つ事の喜びに取りつかれてしまった状態のことを指します。
ギャンブル依存症の人の多くに「ギャンブルをしていないと落ち着かない」といったような症状が見受けられ、お金が尽きると借金をしてでもギャンブルを続けてしまう人も少なくないのです。
雀荘のアウト制度
また、雀荘によってはプレイヤーにお金を貸してくれる「アウト」という制度を導入している店舗もあり、そのことが借金を増やしてしまう要因にもなっています。
アウトでよくあるケースと言えば、フリー(一人)で麻雀を打ちにきたものの、思いのほか負けが込んでしまって手持ちのお金が無くなってしまうケースです。
友人などと打っている場合は仲間内でお金の貸し借りができますが、フリーの場合はお金を貸してくれる人がいないため、現金が底をつくとプレイを続行することができなくなってしまいます。
プレイヤーが一人抜けてしまうと残りの三人もプレイができなくなり、結果、雀荘の売上が減ってしまうことになるため、お金が無くなったプレイヤーには店側がお金を貸してくれるのです。
こうして何度もアウトを繰り返していく内に、最初は少額だった借入れが、いつの間にか取り返しがつかないほど膨れ上がっていることも珍しくはないのです。
闇金に手を出す
一緒に卓を囲んでいるプレイヤーの中に闇金が紛れ込んでいるケースもあります。
負けが込んでお金に困っていそうな人に目をつけ、「お金に困っているならいつでも言ってくださいね」などと気さくに声を掛け、法外な金利でお金を貸付けようとするのです。
ギャンブルに負けて冷静な判断ができなくなると、高い金利に不安を感じながらも「勝ってすぐに返せば大丈夫」などと、つい借入れをしてしまって借金地獄に落ちてしまう人もいるのです。
麻雀が原因の借金問題を解決するには?
麻雀が原因の借金問題はどのように解決したら良いのでしょうか。負けた相手に支払う借金と貸金業者からの借金、それぞれの解決方法について見ていきましょう。
負けた相手に支払う借金
先ほども触れた通り、違法ギャンブルによる借金は支払う必要がありません。
負けた相手への支払いが難しいのであれば、借金の無効を主張して支払う意思がないことを伝えましょう。
「違法と知りながらギャンブルをしておいて虫が良すぎる」と思われ、その後の人間関係に影響を及ぼすことになるかもしれませんが、どうしても支払えないのであれば選択の余地はありません。
「どうしても自分からは伝えられない」「相手の素性が分からないので怖くて言えない」といったことでお悩みであれば、弁護士を通じて相手に伝えて貰う方法もあります。
貸金業者からの借金
こちらも前述の通り、麻雀で負けたお金を支払うために貸金業者から借りたお金については返済をしていかなくてはなりません。
麻雀が原因で貸金業者から100万単位の借金をしてしまう人も珍しくありません。返済が少しでも苦しいと感じるのであれば、弁護士に相談をして債務整理による解決を検討しましょう。
債務整理の種類と特徴
債務整理の種類 | 手続き内容 | |
---|---|---|
任意整理 | 貸金業者と交渉をして、借金の利息カットと返済期間の延長をしてもらう手続です。借金の理由を問われないので、麻雀による借金も手続き可能です。 | |
個人再生 | 裁判所を介して、借金を5分の1程度にまで減額する手続きです。任意整理同様、借金の理由を問われません。 | |
自己破産 | 裁判所を介して、全ての借金を帳消しにしてもらう手続きです。ギャンブルによる借金は免責されない(返済義務がなくならない)ことがあります。 |
3つの手続きのうち、どの手続きを選択するかはその人の借金や収入の状況によって異なりますが、最も利用者が多いのは任意整理です。
任意整理は裁判所を通す必要がないため、他の2つの手続きに比べると手続きが簡単ですし、家族や会社に知られてしまうなどのリスクやデメリットが少ないといった特徴があります。
ただし、任意整理はあくまで借金の利息や遅延損害金(滞納してしまったことへの賠償金)をカットして貰う手続きなので、よほど交渉が上手くいかない限り、借金の元本自体を減らすことはできません。
あまりに借金が膨れ上がり過ぎてしまうと、元本を減らせない任意整理では解決が難しくなり、個人再生や自己破産を選択せざるを得なくなります。
毎月の返済が苦しいと感じているのであれば、まずは弁護士に無料相談をして、債務整理以外の手段も含めて自分に適した解決方法をアドバイスしてもらうと良いでしょう。
麻雀の借金放置は危険!自己破産すらできない可能性も
麻雀で作ってしまった借金をそのまま放置しておくことは絶対に危険です。ギャンブルによる借金は自己破産が認められないこともありますので、1日も早い対処をお勧めします。
日々膨れ上がっていく借金
借金の返済を放置しておくと、利息や遅延損害金によってみるみるうちに借金が膨れ上がっていきます。
返済遅延金とは返済が遅れてしまったことによる罰金のようなもので、返済予定日の翌日から発生し始めますので、滞納期間が長くなるほどその額は大きくなっていきます。
遅延損害金は以下の計算式で求めることができます。
遅延損害金の計算式
遅延損害金利率はほとんどの貸金業者が上限いっぱいの20%に設定しています。
例えば借金の残高が100万円で、返済を10日間滞納した場合を計算してみましょう。
100万円 × 20% ÷ 365日 × 10日 = 5,479円
たった10日間の滞納でこれだけの遅延損害金が発生してしまうのです。
また、滞納から数ヶ月もすると、裁判を起こされて借金の一括返済を請求されることになりますが、この時の請求額には遅延損害金も含まれています。
ここまで来て一括で返済できる人などほとんどいませんので、多くの場合、強制執行によって給与や財産を差し押さえられてしまいます。
返済を滞納してしまった場合は、それ以上遅延損害金を増やさないために早急に対処することが大切です。
麻雀の借金は免責不許可事由に該当する
また、麻雀などのギャンブルによる借金は自己破産の免責不許可事由に該当するため、免責が認められない可能性があります。
免責不許可とは「借金の返済義務がなくならない」という意味で、ギャンブル、浪費、投資などが原因による借金は免責が認められず、借金を帳消しにできないことがあるのです。
もし免責不許可となった場合は、即時抗告をして最高裁で改めて免責の可否を判断してもらうことはできますが、決定が覆る可能性は低いと言えます。
即時抗告でも免責不許可となれば任意整理や個人再生を検討することになりますが、元々それらの手続きでは解決が難しいからこそ自己破産を選択する人がほとんどのため、手続きは難航を極めることになるでしょう。
手遅れにならないうちに早期相談を
このまま借金問題を悪化させてしまうと選択肢が自己破産しかなくなってしまい、その自己破産すら認められなくなってしまう恐れがあります。
これ以上事態が深刻化して手遅れになってしまう前に、1日も早く問題解決に向けた第一歩を踏み出しましょう。
自己破産は借金を無くすことはできますが、そのデメリットも大きいため、債務整理の中では最後の最後の手段とも言える手続きです。
大抵の人はデメリットが少ない任意整理で誰にも知られずに解決することができますので、まずは専門家である弁護士に無料相談してみることをお勧めします。
たくさんの人が無料減額診断で解決への第一歩を踏み出しています
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そしてほとんどの方が声をそろえて言うのが、「こんなに簡単に解決できるのなら、もっと早く相談しておけば良かった」という事です。
借金問題は悩んでいる間にも利息や延滞金が増え続け、どんどん状況が深刻化していきます。
まずは匿名で自分の状況を診断してもらい、1日も早く解決へ向けた第一歩を踏み出す事をお勧めします。