農業で借金地獄に陥る理由
農業で借金地獄に陥ってしまうのは決して珍しいことではありません。
農業は高額な初期費用が必要なうえ、天候の影響を受けやすく、収穫量の落ち込みや農作物の価格暴落などでなかなか収入が安定しません。
離農理由で最も多いのが借金であると言われているくらい、借金問題に苦しめられている農家は多いのです。
まずは農家が借金地獄に陥ってしまう理由を詳しく見ていきましょう。
高額な初期費用
新規で就農するためには様々な初期費用が必要になります。
全国新規就農相談センターが行った「平成28年度新規就農者の就農実態調査」によると、土地の取得費用を除いたは初期費用の平均額は569万円でした。
内訳は、農耕機械やビニールハウスなどへの設備投資が411万円、種苗・肥料・燃料等への費用が158万円となっています。
また、就農後、しばらくの間は収穫がないため無収入になりますし、ようやく収穫できたとしても売り物にならないことも少なくなく、安定収入を得られるまでには時間がかかることもあります。
そのため、就農初年度は当面の生活費も用意しておく必要があり、その平均額は159万円となっています。
このように、就農に必要な初期費用は大変高額になることが多く、自己資金では足らずに借金をして工面する人が多いのです。
天候不順による農作物被害
農家は農作物を出荷しなければ収入を得ることができません。
台風、猛暑、豪雨などの天候不順で不作になってしまうと、収入が途絶えてしまって多額の借金を抱えこんでしまうことがあります。
借金をした翌年が豊作になればよいのですが、不作が続いてしまうと新たな借入れによって瞬く間に借金地獄に陥ってしまうのです。
農作物価格の暴落
農作物価格の暴落によって借金をしてしまうケースもあります。
天候が順調な年であっても、天候が良すぎて農作物が獲れすぎると買取価格が暴落してしまいます。
その結果、当初予定していた収入を得られなくなってしまい、資金繰りに困って借金を抱えてしまうことがあるのです。
経営を指導する人がいない
脱サラして農業を始めた人の中には、サラリーマン体質がなかなか抜けずに経営者としての意識が希薄な人も少なくありません。
そして、そのよう人に経営を教える人がいないという点も、借金地獄に陥る農家が多いひとつの要因と言えます。
就農時、一定の要件を満たせば受給できる「農業次世代人材投資資金」の審査では、5年先を見据えた経営計画の作成をすることになりますが、それだけで安心してしまう人が多いのです。
貸借対照表の存在すら知らずに、農協の言うがままに融資を受けて借金を抱えてしまう農家も少なくないのです。
大企業と下請け?農協との意外な関係
農協と農家が密接な関係にあることはご存知の方も多いでしょう。
農協と言えば、農家を多岐に渡ってサポートしてくれる頼りになる組織というイメージが強いかと思いますが、実は農協が原因で借金を抱えてしまうこともあるのです。
借金をする時は農協から
農家と言えど、銀行、商工ローン、貸金業者などからの借入れも出来ますが、あえて自主的に農協から借りようとする人が少なくありません。
なぜならば、農協は農家の農作物を買い取って販売するルートを持っており、もし他の金融機関から借入れをしてしまうと、農作物の買取価格や買取量を減らされてしまう可能性があるからです。
農協と農家は大企業と下請けのような関係にあるため、農家は他に借入れ先があったとしても、あえて農協から借入れをする人が多いのです。
関係維持のために借入れも
また、農家は農協との良好な関係を維持するために借金を背負わされてしまうことがあります。
例えば、農協に新作物の栽培を勧められ、そのための資金として半ば強引に借金を背負わされたり、トラクターなどの高額な農耕機械を付き合いで買わされるとこともあります。
大企業と下請けのような関係にあるがために、農家は農協の顔色を伺って止むを得ず借金をしなければならないのです。
本来、農協は農家を助ける立場になくてはなりませんが、その関係のなかで、農協が農家を借金地獄に落としてしまうケースもあるのです。
農業で作った借金を解決するベストな方法
農家が抱える借金は高額であることが多いため、一度借金地獄に陥ってしまうと自力での解決が困難になってしまいます。
そのような場合は、法律的に借金の減額や免除ができる債務整理による解決がベストと言えます。
債務整理の種類には、任意整理、個人再生、自己破産の3つがありますが、今後も農業を続けるか否かでお勧めの手続きが変わってきます。
債務整理の種類と特徴
債務整理の種類 | 手続き内容 | |
---|---|---|
任意整理 | 債権者と交渉をして、借金の利息をカットしたり毎月の返済額を減額してもらう手続です。裁判所を通さないのでデメリットやリスクが少なく、利用者が最も多い手続きす。 | |
個人再生 | 裁判所を通して借金を5分の1程度にまで減額してもらう手続きです。 | |
自己破産 | 裁判所を通して借金を帳消しにしてもらいます。財産のほとんどを失うことになり、デメリットも大きい手続きです。 |
農業を続ける場合
今後も農業を続けていく場合は、任意整理をお勧めします。
- 任意整理をお勧めする理由
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- 財産を残せる
- 連帯保証人に影響がない
- 交渉次第では返済を一時的にストップできる
財産を残せる
個人再生や自己破産では、すべての借金を手続きの対象にしなければならないため、土地や農耕機械を担保に入れた借金があると、それらを回収されてしまいます。
そうなると、今後も農業を続けていくことは難しくなってしまいます。
一方、任意整理では手続きの対象を選ぶことができるので、担保がついた借金を除外することによって、財産を残したまま借金を減らすことができます。
連帯保証人に影響がない
また、連帯保証人についても同様で、自己破産や個人再生では連帯保証人への影響を避けられません。
しかし、任意整理の場合、連帯保証人がついた借金を手続きの対象から外すことによって、連帯保証人へ迷惑を掛けずに済みます。
連帯保証人がついた借金を整理すると、残りの借金は連帯保証人に一括請求されてしまいますので、相手との関係も悪化し、その土地でそのまま農業を続けるのも困難になってしまうかもしれません。
交渉次第では返済を一時的にストップできる
任意整理の手続き後は、残った借金を3~5年の分割で返済していくことが多いですが、任意整理はあくまで債権者との私的な借金の減額交渉ですので、交渉次第ではさらに有利な条件で和解できることもあります。
借金の返済期間を7年にしたり、収穫が期待できない時期の返済を一時的にストップしてもらうなど、ある程度柔軟に返済プランを決められるのも任意整理をお勧めする理由のひとつです。
ただし、裁判所を通さない任意整理とは言え、素人ひとりで手続きをすることは現実的ではありません。
債務者が直接債権者に任意整理の申し入れをしても、まず相手にもされないことがほとんですので、弁護士に依頼をして手続きをするのが一般的です。
弁護士を選ぶ際は、債務整理の実績豊富な法律事務所に依頼をすることが大切です。
繰り返しにはなりますが、任意整理は債権者との交渉によって借金を減額する手続きになりますので、交渉を担当する弁護士次第で和解条件も大きく変わってきます。
債務整理に強い法律事務所であれば、各金融機関の交渉の難易度や減額可能な金額なども心得ていますので、最大限有利な条件で交渉をまとめてくれることでしょう。
離農する場合
今後はもう農業を続けないのであれば、場合によっては自己破産することも選択肢のひとつです。
自己破産をすると、20万円以上の価値があると判断された財産は手放さなくてはならず、それによって農耕機械や土地を失ってしまうこともあります。
しかし、農業を辞めるのであれば農耕機械がなくなっても困りませんし、土地も買い手が見つからなければ売却不可と判断されて配当に回されないケースもあるのです。
自己破産と聞くとデメリットが大きく、全てを失うといったイメージがあるかもしれませんが、農業を辞めるのであれば自己破産によって大きな痛手を負わないこともあるのです。
とは言え、自己破産は債務整理の中でも最終手段とも言える手続きですので、まずは任意整理や個人再生での解決が見込めるかどうかを弁護士に判断してもらうとよいでしょう。
農業の借金を放置するリスクは大きい
農業で作ってしまった借金をこのまま放置しておくことにはリスクしかありません。
農業を続けたいとしても、返済を滞納してしまえば数ヶ月もしないうちに離農を余儀なくされることになるでしょう。
返済の滞納は死活問題へと繋がる
前述の通り、農家のほとんどが農協に加盟しており、多くの人が農協から借金をしています。
農協の借金には連帯保証人がつけられていたり、土地や農耕機械などを担保に取られていることがほとんどです。
もし農協への返済を滞納してしまうと、連帯保証人に対して一括請求をされてしまいますし、担保となっているトラクターなどを回収されてしまうことになります。
借金に抵当権がついている場合は、原則、裁判を起こさずとも物品を回収することができるのです。
農家が農耕機械や土地を回収されてしまったのでは、農業を続けていくことができず、死活問題へと発展し兼ねません。
最悪な結末を避けるには早期行動しかない
このまま何も対策をしなければ離農は避けられません。少しでも借金の返済が苦しいと感じるのであれば、まず弁護士に任意整理の手続きを相談しましょう。
借金問題は病気の治療と同じです。病気が早期発見・早期治療であるならば、借金問題は早期相談・早期解決に尽きます。
これ以上借金が深刻化して任意整理での解決が難しくなる前に、1日も早く弁護士に相談して、自分に最適な解決方法を提案してもらうと良いでしょう。
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借金問題は悩んでいる間にも利息や延滞金が増え続け、どんどん状況が深刻化していきます。
まずは匿名で自分の状況を診断してもらい、1日も早く解決へ向けた第一歩を踏み出す事をお勧めします。