それじゃ今回は、任意整理が転職先にバレてしまうケースについて教えてあげるね。
基本的に任意整理が転職先にバレることはない
任意整理をしたら転職が不利になるのではないかと心配される人が多いようです。
しかし、結論から言うと任意整理が転職に影響することはほとんどありません。
なぜなら、任意整理をしたことが転職先にバレれてしまう可能性は極めて低いからです。
たしかに、任意整理をすると信用情報機関に事故登録されてしまうので、いわゆる「ブラックリスト」に載ることにはなります。
しかし、信用情報の照会は銀行や金融系の会社以外はできませんし、そもそもクレジットやローンの申し込みなどがあった時以外に信用情報を照会することは禁じられているのです。
また、任意整理の場合は自己破産や個人再生とは違って「官報」と呼ばれる政府が発行している機関誌に載ることもありません。
官報は誰しもが閲覧できるものではありますが、一般の人が読むことはまずないでしょうし、転職先の企業が購読していたとしても、任意整理の情報は掲載されてないのでここからバレてしまう心配もありません。
このように、後述する「例外的なケース」を除けば、転職先に任意整理のことを知られてしまうことはまずないと言えるでしょう。
任意整理が転職先にバレる3つのケース
前述の通り、任意整理をしたことが転職先の会社にバレてしまうことは基本的にはありませんが、以下の3つのケースでは例外的にバレてしまう(疑いを持たれてしまう)可能性がありますので注意が必要です。
- 任意整理が転職先にバレてしまうケース
-
- 入社時にクレジットカードを作らされる場合
- 銀行や金融系の会社に転職する場合
- SNSなどから情報が漏れた場合
それぞれのケースについて確認していきましょう。
入社時にクレジットカードを作らされる場合
会社によっては入社時にクレジットカードを作るように指示されることがあります。
カードを作らせる理由は、社員証にクレジットカード機能を持たせ、入社後の経費の精算を社員証一体型のクレジットカードで行わせるためです。
交通費、出張費などの経費をこのカードで清算すれば面倒な申請手続きがなくなりますし、会社によっては社員食堂や売店などでも使用できるので、社員にも会社にとっても何かと便利なものです。
しかし、クレジットカードを作るとなれば当然そこで信用情報を確認されることになり、任意整理の情報が消えていなければ、審査落ちをしてカードを発行してもらうことはできません。
カード会社から転職先の企業に審査落ちの理由が伝えられることはないでしょうが、カードが発行できないとなれば、過去に任意整理等の金融事故を起こしていると疑われてしまう可能性があります。
ブラックリストでもカードを作れるケースもある
社員証一体型のクレジットカードでは、毎月の支払いを社員個人ではなく会社が行うケースもあります。
毎月の支払いを会社がするのであれば、カード発行の際には「会社としての信用」が審査対象になるので、申込者(社員個人)の信用情報が確認されることはありません。
ですので、このような場合はブラックリストに載っている人でもカードを発行してもらえる可能性は高いと言えます。
しかし、社員証一体型のカードであっても社員個人が決済する場合では、やはり個人の信用情報によってクレジットカード発行の可否が決められるため、審査落ちとなってしまうこともあるのです。
ブラックリスト中の人でも作れるカードについては、こちらのページでも解説しています。
銀行や金融系の会社に転職する場合
銀行や金融系の会社に転職する場合も、任意整理の事実が知られてしまう可能性があります。
前述の通り、銀行や金融系の会社であっても、クレジットやローンの審査目的以外で信用情報を照会することは禁じられていますので、転職の際に影響が出ることは基本的にはありません。
しかし、銀行などのお金を扱う業種では信用情報の提出を求められることがありますし、自社で持つ金融事故者リストに該当しないかをチェックされる可能性もあります。
会社にもよるのでしょうが、お金を扱うビジネスでは過去に金融事故を起こしている人を歓迎しないところもあるので注意が必要です。
SNSなどから情報が漏れた場合
最近では、就職希望者を実名でネット検索し、FacebookなどのSNSなどから応募者がどのような人なのかを事前に調べる会社もあります。
IT関連の会社などでは、応募時にSNSアカウントの公開を求めてくるところもあるくらいです。
本人が特定できるネット上のサービスに任意整理や借金問題のことが書き込まれていれば、そこから情報が漏れてしまう可能性があるので、投稿する内容にはくれぐれも注意しましょう。
任意整理が転職先にバレた場合の影響
もし転職先に任意整理のことがバレてしまった場合、どのような影響があるのでしょうか。
前述の通り、金融系以外の会社にバレる可能性はほとんどありませんが、それでもバレてしまうリスクはゼロではありません。
ここからは、転職の際に任意整理がバレた場合の影響を「入社前」と「入社後」のケースで確認していきましょう。
入社前であれば採用を見送られる可能性も
任意整理をした人の採用はそれぞれの会社の判断次第にはなりますが、少なくても個人の信用情報を重要視する銀行などの金融系の業種であれば採用を見送られてしまう可能性があるでしょう。
その反面、信用情報とは特に関係のない業種であれば、任意整理がバレてしまったとしても何の問題もなく入社できるケースが多いでしょう。
公務員試験への影響はない
任意整理が公務員試験に影響しないか心配される人もいますが、これといった影響はありませんし公務員になれないといったこともありません。
役所は応募者の信用情報を確認することができませんし、任意整理は公務員の欠格事由に該当しません。
地方公務員法第16条の欠格条項
- 成年被後見人又は被保佐人(準禁治産者を含む)
- 禁錮以上の刑に処せられ、執行中が執行猶予中の者
- 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
- 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、国家公務員法を犯し刑に処せられた者
- 反社会的な団体を結成し、又はこれに加入した者
上記の通り、「公務員になれない者」の条項に借金問題のことは含まれていませんので、任意整理をしても公務員試験は受験できますし、選考において不利になることもありません。
入社後に解雇されることはない
どこかの会社に入社する際、過去に任意整理をしたことを告げなければいけない義務はありません。
入社の誓約事項に借金をしてないことが含まれでもしていない限り、入社後に「告知義務違反だ」などと言って、任意整理のことを追及されるようなことはないでしょう。
また、任意整理を理由に会社を解雇されることもありません。借金問題を理由に社員を解雇することは「不当解雇」に該当し、会社側に法的な非が発生してしまうためです。
解雇に関して、労働契約法第16条には以下のように規定されています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
つまり、任意整理は解雇の合理的な理由にはなりませんし、仮に自己破産をしたとしても解雇される理由にはならないのです。
しかし、解雇にはならないものの、会社によってはお金を扱う部署からは離されたり、あらぬ噂話などで精神的に負担に感じてしまうこともあるかもしれません。
任意整理後の転職は、転職後の返済のことも含め、ご不明点を弁護士などの専門家によく相談したうえで検討されるとよいでしょう。
任意整理と転職の注意点
任意整理は自己破産のように手続中に職業が制限されることもありませんし、基本的には信用情報が転職に影響することもありませんので、任意整理の手続中でも手続後でも転職をすることは可能です。
しかし、いくら自由に転職ができるとは言え、借金完済前であれば返済に支障をきたさぬよう慎重な転職を心掛けたいものです。
続いては、任意整理と転職の注意点について確認していきましょう。
転職で収入が減る可能性も
転職をして収入が増える分にはよいのですが、減ってしまう場合には注意が必要です。
収入が減れば、任意整理後の毎月の返済が苦しくなってしまう可能性が出てきます。
返済が2回以上遅れると、貸金業者には一括請求権が発生し、残った借金を一括で支払うよう命じられてしまうことがあります。
また、支払いが遅れることにより、弁護士などが代理人を辞退してしまうこともありますので、任意理後の転職では転職後の収入と返済計画について事前によく検討をしましょう。
また、任意整理中に転職をする際は、前もって弁護士などに報告をしましょう。
貸金業者に提案する返済計画案は、その時点での収入を基準にして作成していくことになります。
転職をすれば収入が変わる可能性がありますので、担当の弁護士などによく相談をしながら進めていくようにしましょう。
給料日がずれる可能性がある
給料日が変更になることによって、毎月の返済に支障をきたす場合があります。
例えば、毎月25日に返済をしているのに転職後の給料日が30日になったとしたら、返済が苦しくなることもあるでしょう。
そのような自体を避けるために、転職前には転職先の給与支給日を確認し、場合によっては弁護士などを通じて貸金業者に返済日の変更をお願いしましょう。
必ずしも変更に応じてくれるとは限りませんが、貸金業者によっては応じてくれるケースもありますのでお願いしてみる価値はあります。
自己破産・個人再生の転職への影響
同じ債務整理であっても、自己破産や個人再生の場合、任意整理にはない転職への影響がありますので確認しておきましょう。
自己破産には資格制限がある
破産の手続き中は、一定の職業(資格)に就くことができません。制限される資格には弁護士や公認会計士といった、いわゆる「士業」が多く含まれています。
その他にも生命保険の募集人や警備員、損害保険代理店など多くの職業(資格)制限があり、免責がおりるまではそれらの職業に就くことができません。
官報に掲載される
先ほども少し触れましたが、自己破産や個人再生をすると、政府が刊行する「官報」という機関誌に住所や氏名が掲載されます。
官報とは簡単に言えば政府が毎日発行する新聞のようなものになります。
「新聞に掲載される」となると世間に大きく知れ渡ってしまうように思えるかもしれませんが、現実的に毎日何人も挙がってくる官報の氏名を隅々までチェックしている人などいないでしょうから、そこから世間に知られてしまう心配はありません。
ただし、金融機関や不動産会社など、転職先の業種によっては官報の情報を重要視する可能性もありますので念頭に入れておきましょう。
よくある質問
任意整理と転職についてよくある質問をまとめました。
任意整理中と任意整理後では、どちらで転職をすればいいの?
転職は任意整理中にしても任意整理後にしてもどちらが有利ということはありません。
どこの企業に転職をするにしても、任意整理中かどうかの調査はされませんし、任意整理をしていることは、依頼者と代理人である弁護士や司法書士、そして貸金業者しか知り得ない情報なので、応募先の企業に知られてしまうこともありません。
また、任意整理中であっても任意整理後であっても、気掛かりなのは信用情報から任意整理がバレてしまうことですが、基本的には転職時に信用情報が確認されることはありません。
任意整理中と任意整理後、どちらかに大きなメリットやデメリットがある訳ではないので、弁護士などと相談のうえ、適切なタイミングで計画的な転職をオススメします。
任意整理の手続の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
親が任意整理をした場合、子供の就職や転職への影響は?
特に影響はありません。
前述の通り、銀行などの金融機関に転職する場合には信用情報の提出を求められるケースがありますが、あくまで本人の信用情報のみであって親の信用情報まで求められることはありません。
また、入社の際に親の任意整理について告げる必要はありませんし、採用先の企業が親の借金や任意整理について質問をしてくることもありません。
任意整理と転職についてのまとめ
今回は任意整理が転職先にバレてしまうケースなどについて詳しく見てきました。
本記事のポイント
- 任意整理が転職先にバレてしまうこともある
- 任意整理がバレた場合、金融系の会社であれば採用に影響する可能性がある
- 任意整理の手続中でも手続後でも転職は可能
任意整理中でも任意整理後でも転職はできますが、銀行や金融系の会社などお金を扱う業種への転職は不利になる場合があります。
また、転職によって収入が減ると、せっかく貸金業者と和解をして借金を減額して貰ったのに、結局は返済が厳しくなって任意整理が失敗に終わってしまうこともあります。
任意整理をしながら転職をする際は、弁護士や司法書士に無料相談をして、転職先の業種や給与額を伝えたうえで、無理のない計画的な転職活動を心掛けましょう。
また、任意整理をすることによって借金が大幅に減額されることもありますので、自分の借金がどれだけ減るのか、本当に転職をするべきなのかといった点も含めて弁護士などに相談してみることをオススメします。
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